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九州大学病院の内視鏡外科手術

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消化器領域 大腸(結腸がん、直腸がん等)消化管外科(1)講師 植木  隆

下部消化管(小腸、大腸)の内視鏡手術について、
消化管外科(1) 真鍋達也講師が回答します。

Q. 下部消化管がんの内視鏡手術は、いつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?

当科では、1993年に52歳女性の早期結腸がんに対して初めて内視鏡手術を行い、徐々に進行結腸がんや直腸がんにも適応を拡大し、これまでに996名の大腸(結腸および直腸)がんの患者さんに内視鏡手術を行いました。

その他に、腺腫や粘膜下腫瘍などの良性小腸大腸腫瘍、虫垂炎・憩室炎・クローン病などの炎症性疾患、大腸全切除が必要な潰瘍性大腸炎や、家族性大腸腺腫症などにも、患者さんの身体への負担(侵襲)の少ない内視鏡手術を行っています。下表に、1993年から2014年までに当科で施行した内視鏡手術全1,457例の内訳を示します。


表:症例数内訳 (1993−2014年12月)
Q. 手術の適応についてお聞かせください。

大腸がんでの内視鏡手術の除外基準は、10cm以上の腫瘍・大きな他臓器への浸潤・腸閉塞・高度な癒着が予想される開腹歴などで、現時点では、手術が必要で内視鏡手術が可能と判断される上記以外の大腸がんに対しては、どの部位・進行度においても内視鏡手術を行っています。

大腸がんに対する内視鏡手術の割合は、2013年93%、2014年91%でした。粘膜内の早期大腸がんや良性のポリープは内視鏡切除が行われていますが、内視鏡で切り取ることが困難な場合は内視鏡手術の良い適応となります。


内視鏡手術風景
Q. 手術創と手術後の経過は、いかがでしょうか?

大腸がんの場合、開腹手術であれば手術創は20cm程度になります。手術後の痛みは強く、腸管麻痺の期間が長いため、退院までに手術後10日程かかります。一方、内視鏡手術では、通常翌日には歩行可能・飲水可能で3日目には食事摂取が開始でき、7日目には退院可能となります。

内視鏡手術では、通常5mmから1cm程度の4-5か所の傷から器械を挿入し、3人で手術を行います。腫瘍の大きさに合わせへその傷を3-5cm程度に延長し、病変部を取り出します。

家族性大腸腺腫症、 潰瘍性大腸炎、 クローン病などの良性疾患には単孔式内視鏡手術手技を導入し、よりお腹に傷が残らない手術を行っています。クローン病で回盲部切除(小腸と大腸の一部)術を実施した患者さんと、潰瘍性大腸炎で大腸の全切除を行った患者さんの手術後の外貌写真を示します(写真1, 2)。

  • 写真1:クローン病術後15日後

  • 写真2:潰瘍性大腸炎術後半年後
Q. 手術創以外の、内視鏡手術のおもなメリットは何でしょうか。
傷が目立たないこと・痛みが少ないことに加え、腸管を直接触らないことによる腸管麻痺期間の短縮や、癒着の軽減による術後腸閉塞の減少が期待できます。手術中には、手術野を拡大して見ることができますので正確な手術が可能となり、出血量が減少し、直腸がんでは性機能や排尿機能に携わる神経の温存や自然肛門温存の割合も増加しました。 (下部直腸がんの肛門温存手術率:2013年86%、2014年85%)
Q. 現在の取り組みについてお聞かせください。
大腸がんの手術成績ともいえる術後再発率は、発表されている全国平均と比べ遜色のないものです。(表2)当科では、日本内視鏡外科学会技術認定(大腸)取得者3名を中心に下部消化管外科の専門医が診療にあたっています。腹腔鏡下大腸切除研究会のメンバーに加わり、腹腔鏡下大腸切除術の安全性や有効性を検証する試験にも参加しています。全国の大腸外科医と交流することで、積極的に最新の手技を導入し、つねに安全で確実な手術を心がけています。

表2

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています。
消化管外科(1)外来までお気軽にお問い合わせください(TEL:092-642-5453 初診日・再診日:火・木)。
九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科 http://www.med.kyushu-u.ac.jp/surgery1/

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