HOME九州大学病院の内視鏡外科手術>消化器領域 膵臓

九州大学病院の内視鏡外科手術

home

消化器領域 膵臓(良性・低悪性度疾患)胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科 講師 大塚 隆生

消化器領域:膵臓の内視鏡手術について、
胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科 大塚隆生講師が回答します。

Q. 膵臓領域での内視鏡手術は、いつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?
膵臓疾患に対する腹腔鏡手技は、膵がんに対する進行度判定などが以前より行われていましたが、膵臓の切除 (膵尾部切除・局所切除)は1996年頃から報告されています。当科でも平成10年には第一例が行われ、世界的な黎明期に遅れることなく開始しました。2014年12月までに167例の腹腔鏡下の膵臓手術を行い、本邦ではもっとも多い施設の一つに数えられています。表1に腹腔鏡下膵切除術の内訳を示します。

表1 腹腔鏡下膵切除術の内訳(2014年)
Q. 手術の適応についてお聞かせください。

膵臓領域の内視鏡手術当初は膵臓の良性、または悪性度の低い疾患に対する手術として、本邦では開始されました。その後技術の進歩や安全性の検討により、次第に手術の適応が拡大されつつあります。

また当科で行っている生体膵移植においても腹腔鏡下で膵切除を行うことにより、臓器提供者(ドナー)の方の身体的負担を軽減しています。現在までに当科で行った腹腔鏡下膵切除術の術前診断一覧を表2に示します。

表2.術前診断一覧
Q. 一般的な術後の経過は、いかがでしょうか。
膵切除の術後経過は、残った膵臓から消化液が漏れる膵液ろうという合併症の有無により大きく左右されます。当科では、自動縫合器を用いた膵切離の際の工夫によって、膵液ろうを減少させ、10日から2週間程度で退院が可能です。この方法は、統計的にその効果が証明され、現在では開腹手術にも応用されています。
Q. 手術創はどのようになりますか?
写真1は腹腔鏡下膵体尾部切除術の手術創で、5mm とl2mm の計4-5か所の創で手術を行います。腹腔鏡用エコーなどを使って病変の位置を確認し、左側の創より自動縫合器を挿入し、膵臓を適切な場所で離断します。なお、取り出す腫瘍が大きい場合や、脾臓含併切除の場含は、一か所の創を3-4cmに延長することもあります。
写真1 鏡視下手術による手術創
Q. おもなメリットは何でしょうか。
前述のように通常の膵体尾部切除の場合は、視野確保のため、上腹部に大きな創が必要でした(写真2)。腹腔鏡手術では、傷を小さくすることができるだけでなく、頑固な疼痛も起こりにくくなります。
写真2 従来の手術創
Q. 現在の取り組みについてお聞かせください。

腹腔鏡下膵切除の対象となる疾患では、病態的には脾臓の温存が可能な場含がありますが、技術的に困難とされ、あまり行われてきませんでした。当科では、膵臓の解剖学的知見に基づいた確実性の高い脾臓温存術式を考案・実践し、現在では腹腔鏡下膵体尾部切除術の半数以上を脾臓温存術式で実施しています。

また当科は国内最多の膵臓腎臓移植施設であり、生体膵腎移植のドナ一手術(膵・腎摘出術)も2010年から腹腔鏡補助下で開始しました。

より高度な技術を必要とし、腹腔鏡下では困難とされた膵中央切除や、膵頭十二指腸切除もすでに開始し、これまでの国内有数の経験を生かし、今後は膵がんなどの悪性疾患に対しての適応拡大を慎重に検討しています。

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています。
胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科外来までお気軽にお問い合わせください
(TEL:092-642-5453 初診日・再診日:火・木)。
九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科学 http://www.med.kyushu-u.ac.jp/surgery1/

ページの上部へ