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整形外科領域 脊椎(腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱間狭窄症)整形外科 准教授 松本 嘉寛

整形外科:脊椎外科領域の内視鏡手術について、
整形外科 松本嘉寛准教授が回答します。

Q. 脊椎外科領域での内視鏡手術は、いつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?
当科においては、平成14 年から本格的に導入がはじまり、現在までに約160 例の手術が行われています。2007年−2012年12月までの手術症例の内訳を表1 に示します。
表1 脊椎内視鏡手術の内訳(2012年12月現在)
Q. 手術の適応についてお聞かせください。

主な対象疾患は、投薬や理学療法等で症状の改善がみられない腰椎椎間板ヘルニアと、単椎間(病変が1か所)の腰部脊柱管狭窄症です。

外側型の腰椎椎間板ヘルニアの場合、これまでは非常に大きな皮膚切開を伴う侵襲の大きな手術が必要でしたが、内視鏡を用いることにより格段に少ない侵襲でヘルニアの摘出を行うことができます。 頸椎疾患においても難治性の頸椎症性神経根症に対する除痛効果は良好で、今後適応症例は増加すると思われます。

なお、膀胱直腸障害などの高度の神経学的異常を示す例、腰椎の不安定性のため脊椎固定術が必要な例、再手術例には用いていません。

Q. 一般的な術後の経過は、いかがでしょうか。
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の場合、従来の手術では、退院までに術後約2週間必要ですが、内視鏡手術の場合、早ければ3日、長くても1週間ほどで退院可能です。
Q. 手術創はどのようになりますか?

腰部脊柱管狭窄症の手術例を示します。X線を併用して脊椎のレベルを確認した後、背側に縦に約18mmの切開を加え、16mmのスコープを刺入して手術を行います(写真1)。

従来の手術では、5-6cmの切開が必要でしたが、内視鏡手術では、指先で隠れるくらいの小さな傷ですむことから、“バンドエイドサージェリー”と呼ばれることもあります(写真2)。傷は医療用テープで固定し、抜糸の必要もありません。

写真1 腰部脊柱管狭窄症に対する手術の様子

写真2 手術創の比較(背側) 左:内視鏡手術 右:従来の手術
Q. おもなメリットは何でしょうか。

脊椎内視鏡は、皮膚切開の小ささ、背筋群など軟部組織に対するダメージが少ないことに加え、神経組織が拡大された明るい視野で手術が可能です。また、斜視鏡を用いることで、より広い範囲が見えることが大きな特徴です。

井戸をのぞき込んで手術していたものが、井戸の底に降りて、間近で安全に手術を行うことができるといったイメージでしょうか。これまであまり確認できなかった微少血管も出血させる前に止血が可能で、ほとんど出血しない例をしばしば経験します。術後の痛みが少なく、治療成績も従来の手術と比較して遜色ないことから、患者さんの満足度はとても高いと考えています。

Q. 現在の取り組みについてお聞かせください。
脊椎内視鏡手術は極めて限られたワーキングスペースで行うため、難易度の高い手術となります。より安全な手術を行うため、超音波メスやナビゲーションシステムの導入などを検討しています。 また、内視鏡手術の低侵襲性をより定量的に評価するため、骨切除量や、背筋群の変性などについてCT、MRI などを用いて、解析をすすめています。

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています。
整形外科外来までお気軽にお問い合わせください(TEL:092-642-5504 初診日:月・水・金)。
九州大学大学院医学研究院整形外科学 http://www.med.kyushu-u.ac.jp/ortho/

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