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消化器領域 食道(食道がん)消化管外科(1)准教授 永井英司

消化器領域:食道がんの内視鏡手術について、
消化管外科(1) 永井英司准教授が回答します。

Q. 食道がんの内視鏡手術はいつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?
当科では、胃がんに対する腹腔鏡下手術に引き続いて1998年から開始し、これまで約200名以上の患者さんに行っています。

表 これまでに行った手術と症例数 2014年3月現在
Q. 手術の適応についてお聞かせください。

食道がんの手術は胸部操作で周囲リンパ節を含めて食道を切除し、頸部のリンパ節をすべて切除(郭清)し、腹部操作で胃を管状にして頸部まで持ち上げ、残った口側の食道とつなぐのが標準的手術ですが、たいへん複雑で手術の傷跡が大きな手術です。

当科での内視鏡手術開始当初は患者さんにとって負担の大きい胸部の手術操作のみを内視鏡手術で行っていましたが、その後腹部操作も内視鏡手術で行っています。開始当初は比較的早期のがん患者さんに限って行っていましたが、2005年以降ではほぼすべての患者さんを対象に行っています。


24インチ液晶モニターに映されるハイビィジョン映像を見ながら3人で手術を行う

麻酔後に患者さんはうつ伏せの状態となり、トロッカーと呼ばれる鞘を通して、カメラ、鉗子類を腹腔内に挿入し手術を行う。
Q. 一般的な術後の経過は、いかがでしょうか。

手術後気管内挿管チューブを抜去し、集中治療室に入室となります。翌日から歩行、4日目から食事を開始し、通常は10日目に退院となります。もともと食道がんの患者さんには呼吸機能の低下が見られる方が多く、術後肺炎など肺合併症が起こると入院は長期化することもあります。

退院後は散歩から始めて、ご自身の体力を考えながら運動、運転、旅行に行くことも可能です。退院後1週間程度で職場へ復帰する方もいますが、通常は数週間から1か月くらいかかることが普通です。食道がんの手術後は胃が管状になり、胸の中を持ち上げられていることから、食べ過ぎない、食べてすぐ横にならないなど特有の注意すべきことがあります。

Q. 手術創はどのようになりますか?

胸には最大約1cm程度の創が5か所できます。腹部ではへそに3、4cmの創(ここから切除した食道と周囲リンパ節をひとかたまりに取り出します)と、12mmの創が2か所、5mmの創が3か所できます。また頸部には約10cmの創ができます。胃の手術後で再建に胃ではなく大腸を使わなければならない場合には、腹部の創は大きくなります。
  • 胸部の創
  • 腹部の創
術後10日目(退院直前)の創の状態
Q. 手術創以外の、内視鏡手術のおもなメリットは何でしょうか。

開胸開腹手術と比較して手術中の出血量が極端に少なく済みますし、術後の胸部の創や頸部の創の痛みはほとんどありません。胸壁の損傷が少ないために術後の呼吸機能に与える影響は開胸手術に比べてかなり少ないことも特徴です。

腹部操作も腹腔鏡で行うと腸の蠕動運動の回復が早く、食事を早期に開始できますし、そのため術後の在院日数も短くなり社会復帰が早くなります。

Q. 現在の取り組みについてお聞かせください。
食道がん手術は患者さんの負担が大きく、術前や術後の栄養状態によって、術後の経過が大きく左右されます。また手術だけではなく術後の生活の質(QOL)向上のためにも、栄養改善に取り組んでいます。より高度な手術が可能となるロボットを用いた手術にも取り組む予定です。

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています。
消化管外科(1)外来までお気軽にお問合せ下さい(TEL:092-642-5453 初診日・再診日:火・木)。
九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科 http://www.med.kyushu-u.ac.jp/surgery1/

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