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婦人科領域 卵巣・卵管・子宮(卵巣腫瘍、卵管、子宮筋腫、子宮体癌)江頭 活子

婦人科領域(卵巣、子宮)の内視鏡手術について、
産科婦人科 江頭活子助教が回答します。

Q. 婦人科領域での内視鏡手術はいつ頃から始まりましたか?どのくらいの症例数がありますか?
産科婦人科での腹腔鏡の使用そのものの歴史は早く、1990年代より子宮内膜症や不妊症の方のお腹の中を検査する目的で腹腔鏡を使用していました。
当科で手術として腹腔鏡の使用が本格的に増えたのは比較的最近ではありますが、2011年に日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医が赴任したのをきっかけに症例数が増加しました。2014年度は子宮鏡を含めた内視鏡手術を190例行っています(表1)。

表1:2014年度内視鏡手術内訳
Q. 手術の適応についてお聞かせください。
卵巣の嚢胞状(内部に液体などが入っている袋状)の腫瘍で良性を疑うものに関しては、ほぼすべての症例で腹腔鏡手術を行うことができます。たいへん癒着が強い場合や、固形の卵巣腫瘍で細かく切らないと小さな傷から出せないような場合、悪性の卵巣腫瘍を疑う場合などは開腹手術になります。
子宮筋腫に対する子宮筋腫核出術や子宮全摘出術は、子宮や筋腫の大きさによっては腹腔鏡下手術が可能です。
2014年から初期の子宮体癌に対する手術が認定施設では保険で行えるようになりました。2015年までに腹腔鏡下子宮体癌根治術を約40例行っています。

写真 術中の様子
Q. 一般的な術後の経過は、いかがでしょうか。
悪性の手術などでやや回復に時間がかかる場合もありますが、ほとんどの症例で手術翌日から食事を開始し、トイレなどへ歩行可能になります。良性の手術の場合、退院は手術後4日目から7日目くらいですが、悪性の手術の場合は10日程度かかる場合もあります。退院前に痛み止めが全く必要なくなる方も多数おられます。
Q. 手術創はどのようになりますか。
多くの腹腔鏡手術の場合、傷は3−5か所になります。1か所はおへその中を切るのでほとんど見えません。また、その他の傷の長さも6−7o程度であまり目立ちません。
  • 開腹による子宮体癌手術時の傷
  • 腹腔鏡子宮体癌手術では傷は3−5か所で大きさも6−7o程度
Q. 内視鏡手術のおもなメリットは何でしょうか。
女性を診る科ですので、とくに若い方では傷が小さいことで美容上のメリットがあります。また術後の痛みが少なく早期に自分で歩くことができますので、血栓症や麻痺性の腸閉塞などの術後合併症が少なくなる可能性もありますし、入院期間が短くてすみます。
一般的に腹部の手術をすると、お腹のなかで癒着(お腹の壁や腸などがくっついてしまうこと)が起こります。癒着の起こりやすさなどには個人差があります。腹腔鏡手術は開腹手術に比べてお腹の中の癒着を起しにくいため、腸の癒着による腸閉塞や、子宮・卵巣・卵管周囲の癒着による不妊症などを起こしにくいというメリットもあります。
Q. 現在の取り組みについてお聞かせください。
初期子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出を始めました。2015年11月現在はまだ保険適応ではありませんが、臨床試験として行い、将来の高度先進医療認定施設を目指しています。
子宮頸癌に対してはダヴィンチ(da Vinci)によるロボット支援下手術も行っています。
Q. 患者さんからの問い合わせで多いものは何でしょうか?
退院後の抜糸を気にされる方がいますが、お腹の中も、皮膚の部分も吸収糸(溶ける糸)だけを使いますので、術後の抜糸は必要ありません。
退院後の食生活は、婦人科臓器の手術だけであればとくに制限はありません。
自宅に帰ってからも安静にする必要はなく、通常の日常生活が可能になります。
Q. 腹腔鏡以外の内視鏡手術についてお聞かせください。
腹腔鏡以外にも子宮の手術では腟からカメラを入れてまったくお腹を切らない子宮鏡手術もあります。ただし適用できるのは子宮内腔にできた腫瘍や筋腫などに限られます。また、厳密には内視鏡手術ではありませんが、とくに原因となる腫瘍などがない(機能性)過多月経の方に対して、マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)という子宮の中に棒を入れて内部を焼灼するような手術もあり、痛みや出血もたいへん少なく翌日の退院も可能になります。

内視鏡手術の適応に関するご相談・ご紹介は随時、受け付けています。
産科婦人科外来までお気軽にお問い合わせください(TEL:092-642-5409 初診日・再診日:月−金)。
九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学(婦人科学産科学)
http://www.hosp.kyushu-u.ac.jp/shinryo/geka/11/index.html

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